原油価格は、今は供給過剰懸念から下落傾向ですが、将来的には、新興国の需要が増えて、価格は上昇するという見方が多くあります。
このように考える個人投資家にとって、投資しやすい手ごろな商品の1つが、原油価格の指数に連動するタイプのETF(上場投資信託)です。
基本的には、ニューヨーク先物市場のWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)や東京商品取引所のドバイ原油といった先物をもとにした指数に連動します。
例えば、シンプレクス・アセット・マネジメントの原油ETFはWTIに連動しています。
原油ETFと商品先物取引の違い
商品先物取引で原油を取引するには、担保となる証拠金を差し入れる必要があります。
商品先物取引なら証拠金の何倍もの額を取引することができますが、非常に値動きは激しく、その分だけ証拠金も膨らんでしまいます。
そのため、個人が投資するにはリスクが大きいと言わざるを得ません。
一方で、ETFへの投資なら、商品先物取引と異なり、担保である証拠金は不要で、銘柄によっては数千円から投資することも可能です。
株式と同じような感覚で売買することができます。
原油ETFの注意点
そんな原油ETFにも注意点があります。
WTI連動型のETFや海外のETFには、為替変動のリスクがあります。
つまり、ドル建て価格が上昇しても、円高・ドル安になれば、リターンが消されてしまう可能性があります。
また、原油ETFは決済期限(限月)が最も近い先物(期近物)に投資します。
決済日が近づくと、期近物を売り、次の限月に乗り換えるロールオーバーで買い持ちを維持します。
乗り換えの際、限月間の価格差によって想定したリターンが得られない可能性があります。
原油価格の動きに加え、為替相場やロールオーバーの影響もあるため、投資する場合には、リスクを十分に見極めておく必要があります。
主な原油関連のETF・ETN
商品名 | 運用会社 | 運用スタイル | 取引に必要な最低金額(2016年7月末時点) | 管理費用 |
---|---|---|---|---|
WTI原油価格連動型上場投信 | シンプレクス・アセット・マネジメント | WTIに連動 | 1,916円 | 0.85% |
NEXT FUNDS NOMURA原油 インデックス連動型上場投信 | 野村アセットマネジメント | WTIをもとにした指数に連動 | 2,920円 | 0.50% |
iシェアーズ S&P GSCI コモディティ・インデックス・トラスト | ブラックロック | 原油、金、穀物など多様な商品先物で構成する指数に連動 | 13.96ドル | 0.75% |
NEXT NOTES 日経・TOCOM 原油ダブル・ブルETN | ノムラ・ヨーロッパ・ファイナンス・エヌ・ブイ | ドバイ原油先物をもとにした指数の2倍動く指数に連動 | 677円 | 0.80% |
NEXT NOTES 日経・TOCOM 原油 ベアETN | ノムラ・ヨーロッパ・ファイナンス・エヌ・ブイ | ドバイ原油先物をもとにした指数と逆に動く指数に連動 | 16,070円 | 0.80% |
iシェアーズ S&P GSCI コモディティ・インデックス・トラスト
原油のほか、金や穀物といった幅広い商品に連動するのが、米国の取引所に上場しているブラックロック・ジャパンのETFです。
このようなETFなら、多様な商品に分散投資することができ、また、ドル建てのため保有資産の分散にもつながります。
NEXT NOTES 日経・TOCOM 原油ダブル・ブルETN/NEXT NOTES 日経・TOCOM 原油 ベアETN
野村グループのノムラ・ヨーロッパの上場投資証券(ETN)は、より積極的な運用を想定した商品です。
ETNは、投資信託ではなく、債券ですが、基本的な仕組みはETFと同じです。
ただし、ダブル・ブルETNは値動きが2倍になります。
また、ベアETNは、原油価格が下がれば、利益が出るタイプの投資商品です。