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It's マネーハック !

日本人はお金の知識(ファイナンシャルリテラシー)がないと言われます。確かに、経済学部を卒業し、証券会社で働きながら、独自に保険や不動産投資を研究してきた私の目から見るとあまりに周りの人たちのお金の知識がないことに驚きます。一方で、そんな人たちは、ホントはお金の知識を身に着けたいと言います。でも、どう学べばいいかわからないと…。そんな人たちのために、さまざまな切り口でお金の知識を提供し、少しでも賢くお得に生きてもらおうというのがこのブログの目的です。

外債投資のイロハ

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外債投資の重要性

投資というと、株式や不動産への投資が浮かぶかもしれません。

ただ、資産運用における分散投資の観点から、債券への投資、特に外国の債券への投資は重要です。

分散投資の基本的な考えでは、運用する資産を国内外の株式と債券にそれぞれ振り向けます。

株式はリターンを期待できるものの値動きは大きく損失を被る可能性もあります。

一方、債券は元本の安全性が高く、着実な利回りを確保できます。

資産全体の安定した投資利回りを追求する上で、債券、特に外国債券の重要性は高まっていると言えます。

国内債券は利回り低下

しかしながら、現在の情勢を見ると、各国中央銀行がマイナス金利政策を導入するなど、債券投資における投資環境は大きく変化しています。

特に、2016年1月末に日銀がマイナス金利政策の導入を決めて以来、国内債券の利回りは著しく低下しています。

個人向け国債は別ですが、市場で決まる国債の利回りは期間10年までの国債はマイナスになっています。

それにともなって、国債の利回りが基準となる社債の利回りも連動して低下しており、国内の債券への投資の魅力は失われています。

利回りがプラスの外国債券は多い

海外の債券はどうでしょうか。

ユーロ圏など日本同様にマイナス金利となっている国がある一方で、プラスの金利を維持している国もあります。

米国や英国では期間が短い債券でも利回りはプラスです。

また、スペインやイタリアも5年~10年といった残存期間の長い債券は利回りがプラスとなっています。

国債券のリスク:為替変動リスク

国債券は、国内債券と異なり為替の変動リスクを負います。

例えば、米ドル建ての債券に投資した場合には、円高・ドル安が進むと、米ドルベースでは利息分が増えていますが、円ベースでは金利収入を上回る為替差損が発生することもあります。

国債券の種類

国債券には、さまざまな種類があります。

国債券へ投資をする場合には、発行体格付け償還までの年限の3点は必ず確認するようにしましょう。

発行体

発行体とは、債券を発行している主体のことです。

発行体が国の場合には国債、事業会社の場合には社債となります。

さらに、国債は、先進国債新興国に大きく分けられます。

国債は、債券の基本で、2016年8月末時点で市場の約半分を占めています。

先進国の国債債務不履行(デフォルト)になるリスクがは低いですが、利回りは想定的に低くなっています。

社債の利回りは、その企業が属する国債の利回りが基準になり、国債よりも高い水準の利回りが通常設定されます。

格付け

格付けは、利回りやリスクと密接な関係があります、約束通り債券が償還されるかの目安となります。

格付けは、格付け会社が決めます。

一般的には、トリプルBマイナス以上のものを投資適格債、トリプルBマイナス未満のものをハイイールド債と呼びます。

ハイイールド債は、日本ではあまり発行はありませんが、米国などでは発行も取引も活発です。

償還までの年限

償還までの年限も外債投資において重要です。

年限が長くなるほど、償還の不確実性が増すので、利回りは高くなりがちで、景気の見通しなども反映されます。

米国債で見てみると、2016年8月末に発行された2年債の利回りは0.76%ですが、8月中旬に発行された10年債の利回りは1.503%と倍の利回りの水準になっています。

このように長期債は足元の利回りは高くなります。

しかし、長期間金利が固定されることもあり、将来の金利上昇による債券価格の低下がリスクとなります。

国債券への投資の方法

国債券へ投資するには、証券会社などで個別に購入する他、投資信託などで小額から投資することも可能です。

ただし、国内の一般投資家が購入できる外国社債は極めて限られます。

投資信託を使えば、小額で広く投資することができます。

投資信託で外国債券に投資する場合には、どのような債券を組み入れているか確認した上で購入するようにしましょう。

投資した後は、金利の状況や為替の状況などを確認してリスク管理をすることが重要です。

社債の購入では、企業の経営状況などを把握する必要がありますが、投資信託なら運用のプロがそうした作業を肩代わりしてくれることはメリットです。

投資適格の社債を中心に組み入れる投資信託の中には、保有銘柄の平均利回りが2%を超えるものもあります。

また、為替リスクを回避(ヘッジ)する投資方法もあります。

これらの方法を利用することで、リスクを抑えた運用も可能です。

投資適格債券

国債券への投資の基本となるのは、高格付けの投資適格債券への投資です。

例えば、先進国の国債などです。

これらの投資適格債券は、格付けなどの情報も得やすく、流動性も高いです。

そのため、個人投資家でも投資しやすいでしょう。

ただし、国債などは、足元では利回りが低下しており、利回りの面では、投資対象としての魅力は低下しています。

社債

国債よりも高い利回りを期待できるのが社債です。

社債は通常、国債を基準に、クレジット・スプレッドと呼ばれる利回りの上乗せがあります。

社債は、格付けの面では国債を下回りますが、債務不履行(デフォルト)になるリスクは低く、利回りは魅力的です。

トリプルBマイナス以上の格付けを取得している海外企業には、アップル、コカ・コーラファイザー、BP(英)、シーメンス(仏)など、日本でも有名な会社があります。

例えば、2016年9月にスリーエム(米)が発行した新発5年社債の発行時の利回りは1.64%で、メットライフの5年債の利回りは1.99%でした。

社債の発行例

発行体格付け発行日償還までの年限発行時の利回り
米国債 AA+ 2016年8月31日 2年 0.76%
米国債 AA+ 2016年8月15日 10年 1.50%
コカ・コーラ AA- 2016年8月29日 5年 1.57%
コカ・コーラ AA- 2016年8月29日 10年 2.26%
シーメンス A+ 2016年9月6日 3年 1.34%
シーメンス A+ 2016年9月6日 5年 1.72%
メットライフ AA- 2016年9月8日 3年 1.60%
メットライフ AA- 2016年9月8日 5年 1.99%
スリーエム AA- 2016年9月14日 5年 1.64%
スリーエム AA- 2016年9月14日 10年 2.37%

社債投資の特徴

社債は、景気回復によって、金利が上昇した場合の影響が、国債に比べて、小さくなりやすい特徴があります。

通常、国債を購入した後に金利が上昇すると、その国債の価値は下がります。

しかし、社債は景気が回復すると、クレジット・スプレッドが縮小傾向になり、国債ほど価値は下がりません。

ハイイールド債

国債券のなかでも、投資家に根強い人気があるのが、ハイイールド債券です。

ハイイールド債とは、一般的には、格付けがトリプルBマイナス未満の債券のことです。

ハイイールド債の魅力は、なんと言ってもその高い利回りです。

先進国の国債に比べると、元本の安全性には不安があり、債務不履行(デフォルト)のリスクも高くなりますが、分散投資の一環と考えるなら投資の魅力は高いと言えます。

ハイイールド債の発行体

ハイイールド債の主な発行体は、新興国など信用力の低い国や、財務基盤の弱い企業などです。

そのため、発行時の利率は高く設定されます。

そうでないと、投資家からお金が集まらないためです。

米国では、新興企業なども債券の発行に積極的です。

ハイイールド債のリスク

投資適格債に比べると、ハイイールド債はデフォルトに陥るリスクは高いと言えます。

そして、発行体が破綻してしまうと、元本の一部しか債券者に返ってきません。

しかし、幅広くさまざまな発行体の債券に投資することで、たとえ一部の債権がデフォルトになり、元本が毀損しても、他の債券の利息収入などでカバーすることも可能になります。

得られた利息を債券の市場価値で割った収益率を見ると、米国のハイイールド債は過去15年間で6%以上の水準で安定しています。

ただし、契機が停滞して、企業の破綻が相次ぐ時期には、ハイイールド債の価格は下がってしまいます。

また、そのような場合には、短期的な値動きも大きくなります。

リーマンショックがあった2008年は、利息収入に取引価格の変動を加味した収益率が▲26%に落ち込みました。

しかし、翌2009年には+58%と、大きく動きました。

価格が安いときに、ハイイールド債を購入することができれば、価格上昇による期待収益は大きくなります。

しかし、値上がり益を狙うのは簡単ではありません。

余裕資金を使い、中長期的な視点で安定的な利息収入を狙うのが基本的なハイイールド債の投資戦略と言えます。

ハイイールド債の種類

ハイイールド債とひと口に言っても、さまざまな債券があります。

特に、地域によって発行体の業種などはさまざまです。

実際に、投資する際にはこれらの特徴も把握しましょう。

また、ハイイールド債に投資する投資信託には、地域を限定したものがありますが、購入する際には、複数の投資信託を組み合わせるなどして、投資先の地域や発行体の業種を分散させたいものです。

分散することによって、経済情勢の変化などで大きく値下がりするリスクを抑えることができます。

アメリカのハイイールド債

アメリカは、世界で最大のハイイールド債の市場で、時価ベースで世界の半分以上を占めています。

また、アメリカでは、新興企業による起債が多いのも特徴です。

発行体を見ると、エネルギーや素材関連の企業が多くあります。

特に、2014年ごろにかけて、原油高を追い風に、シェールオイル採掘などを手がける企業が積極的に社債を発行しました。

これらの特徴は、債券の値動きや利回りにも反映されます。

エネルギー関連企業の多くは、原油価格が下落すると経営には逆風となります。

そのため、原油価格が大きく下がると企業のデフォルトリスクが高まるため、債券価格は下落します。

ヨーロッパのハイイールド債

ヨーロッパは、アメリカに比べると、低格付での起債は少なく、平均的な格付けは、アメリカやアジアに比べると高いです。

つまり、同じハイイールド債でも、ヨーロッパのハイイールド債は、比較的債務不履行(デフォルト)のリスクは低いといます。

ヨーロッパのハイイールド債の市場の中心は銀行で、時価ベースでおよそ2割に達します。

アメリカと異なり、発行体に銀行が多いヨーロッパでは、銀行の経営に逆風となるマイナス金利政策の影響を大きく受けます。

アジアのハイイールド債

アジアでは、ハイイールド債のうち、不動産が4割を占めます。

そのため、不動産価格の変動が債券市場に大きな影響を及ぼします。

また、債券の平均的な年限も短めです。